慰謝料の請求

 慰謝料とは、相手がした行為によって精神的苦痛を受けた場合に「感情を慰める」ために支払ってもらうものです。離婚の際に必ず支払われると誤解している人もいますが、単に性格が合わないといった理由では請求できません。また、夫から妻に支払われるものと思われがちですが、離婚の原因を作ったのが妻であれば、妻から夫に支払うことも当然あります。

 

 離婚の話し合い中、とにかく離婚したいという一心から「離婚してくれるなら慰謝料はいらない」などと相手に告げてしまうことはよくあります。離婚前に「慰謝料はいらない」という文章を作ってしまうと、相手がそれをタテに慰謝料請求を認めようとしないこともあります。相手が一筆を求めてきても不用意にサインをすることは絶対に避けるべきです。一時の感情で、後の生活に大切なお金をないがしろにするのは後悔のもとになります。つらい思いをした分、慰謝料を要求するのは当然の権利ですから、放棄してはいけません。

 

 慰謝料は離婚の調停や裁判の中で請求できます。調停で支払いが決まると、取り決めが守られなかった場合に強制執行の手続きをとることができます。調停が不成立に終わった場合は裁判を起こして請求することになります。

 協議離婚の場合も、放棄する意思を示していなければ、後から慰謝料について家庭裁判所に調停を申し立てるか、慰謝料請求の裁判を起こすことができます。ただし、慰謝料の請求には時効があります。損害と加害者を知った時から3年を過ぎてしまうと請求ができなくなるので注意が必要です。